アークの家 有限会社アークアソシエイツ

「子ども部屋」のルーツ

自分が小さいころ、個室を与えてもらっていましたか?それともみんなで共有の勉強部屋・寝室でしたか?
新しい家を考える時に子ども部屋の使い方や広さ、配置や家具のレイアウト、たくさん考えてしまいますよね。
育ってきた環境や経験は人それぞれなのでいろんな考え方があると思います。もしかしたら夫婦で意見が違うときがあるかもしれません。
『なぜ子ども部屋という場所が生まれたのか』というルーツを知っておくと、多すぎる情報に振り回されずに自分たちにとっての「子ども部屋」のあり方を理解する近道になるかもしれません。

1950年代より前には、日本には「子ども部屋」という個室はありませんでした。1950年代といえば戦争が終わり、外国の文化が日本に入ってきだした頃です。実は「子ども部屋」はアメリカからの輸入文化でした。まだ60年ほどしかたっていません。
もともとの日本の住宅は和室が2つと台所くらいの家がほとんど。朝おきると布団をたたんでちゃぶ台を出して食事をし、夜になるとちゃぶ台をしまい布団をしきます。もちろん家族全員同じ部屋で、しかも一軒の家に親・兄弟世帯が一緒に住んでいることもありました。「個室」という考え方が日本にはありませんでした。子どもを一人の個人として見るのではなく、「家族でひとつ」だったのです。
真面目な日本人は新しく入ってきたこの個室を「勉強するための部屋」として子どもに与えました。

一方アメリカでの「子ども部屋」の始まりは1600年頃、イギリスからの移住民の思想がベースになっていると言われています。男女・大人子ども、みんな平等で個を大切にするという精神がベースにあります。
個人のプライバシーを尊重する象徴が「子ども部屋」、みんなが集まってコミュニケーションする場所が「リビング」。
だからといって、個室にこもることはほとんどありません。家のルールが徹底しているのです。
「個室に入るときはノックをすること」「寝るとき以外は基本的にリビングに集うこと」など。
ちなみにこの写真はアメリカンファミリーの代表 フルハウスです。

「家族でひとつ」と「個を大切にする」の考え方の違いともう一つ決定的な違いがあります。学習机です。
日本では子ども1人に1台の学習机はよくありますが、アメリカやヨーロッパではリビングやダイニング・ファミリールームで勉強をし、子ども部屋には一人で寝るためのベッド、服をしまう習慣を身につけるための洋服ダンス、手紙を書くための小さい机があります。
「学習机」は日本独自の文化なのです。

個室文化が日本に入ってきて60年。
「ひきこもり」や「自立しないで親元に住み続けるシングル」、「鬱」などが表面化してきました。
間取りの変化がもたらした家族の関係の有り様が、少なからず影響していると感じてしまいます。
部屋の数や広さからから家づくりを考えるのではなく、まず自分たちの生活スタイルをきちんと知ることが「いい家」に近づく第一歩ではないでしょうか。

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