日本の建物で、古くから使われてる銅板。
瓦葺きで軒先やケラバの端の方を銅板で葺く『腰葺き』という形や、
建物の形によって出来る屋根の『谷』にも使われています。
腐食して穴が開くのは、瓦とひっついてる部分や、瓦の上を流れてきた雨水を受ける雨樋が多く、
全面が銅板葺の場合は穴あきは発生しません。
銅板に穴が開く原因は様々なことが言われていますが、色んな要因と私の考察をまとめてみます。
・酸性雨
酸性雨はブロンズ像が溶ける等、昔からよく言われています。
それが原因だとすると、瓦葺きを受けてる銅の樋は穴が開くのに、全面が銅板で葺かれた屋根は穴あきは発生しないことが、辻褄が合わない気がします。
※ブロンズ像は銅と錫の合金が多く、銅が溶け出してるということではありません。
銅板の穴あきの現場で見るのは、穴が開いているところやその周辺は、緑青ではなく銅の色に近いのです。
ということは、銅の緑青(酸化して表面にできる錆の一種です。表面に被膜を作って、内部の腐食を防いでいます。)が何らかの理由で溶かされているような気がします。
・摩耗的腐食
雨水が瓦から落差をもって銅板に当たることで、緑青が剥離され、露出した素地の銅が酸素と結合することで腐食が加速するという説。
ただこちらも全面銅板の屋根の場合、落差があっても穴あきは無いのです。
・異種金属接触腐食
種類の違う金属が接しているとき、金属に水が触れると電気が流れます。
電気は金属の電位の高い方から低い方に流れます。(ステンレス→鉄 のような感じです。)
そうすると、電位の低い方の金属が電食(腐食)します。
3つ目は、瓦の釉薬に含まれる金属が雨水中に流れ出し、銅板との間でこの電食が起こる説。
釉薬?いぶし瓦なのに?と思って調べてみると、
いぶし瓦は粘土を焼いて、炭素ガスで燻して、表面に炭素膜を形成します。
瓦の粘土は、鉄分が多いほど炭素との化学反応で表面がより銀色になります。
鉄と銅では銅の方が電位が高いので腐食するのは鉄側になりますが、もらい錆は多少はあります。
長くなりましたが、私の考察では
この瓦に含まれる鉄分が雨と一緒に銅板の上に流れて、銅板にもらい錆が発生して緑青が剥がれる→そこに落差をもって雨水が当たる。しかも酸性雨。
という、複合的な要因ではないかという結論に至りました。
瓦以外でも、鉄系のものからしたたるところは要注意です!